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花咲く夜に
第1章 邂逅
『醍醐山桜』は、隠れた名所である。


山の中腹に位置していて、たまに花見客が訪れる。

しかし、
ラッキーなことに花は見れても宴会をするスペースがない。

急斜な山のうえに一本立って居るだけだ。。


時間を遅くすれば、
なおさら人に見つかる心配は無くなる。

枝も太く、ロープを結び易い。

めぐるは近くの農道に自分の車を置いて、
ロープと足掛かりに使う椅子だけを持って山を登った。

頂きに到着する。
めぐるはすぐ椅子を桜の木の下に置いてあがり、
ロープを結んだ。
(よし。大丈夫、崩れないね。
――父さん母さん、今から行くね――――…)


そう心で話しかけて、
ロープに顔を引っ掛けた。
―――と、その時だ。
「何やってんだよ!!」

(え?)
ヒョイッと身体を抱えられたかと思うと、
地上に座っていた。

誰かに抱きかかえられた格好で。

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