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花咲く夜に
第6章 決心
めぐるは何を言ったら良いのか分からなくなった。


ただ………
貴斗の背中へと、
身体をくっつけた。





『…………分からないんだ』


沈黙の中で、
貴斗の声が掠れて聞こえた。

『…………俺は、
誰の子供なのか?

未だに、分からないんだ。血の繋がりはどっちでも良いんだ。

そういうことじゃなく……………』

貴斗はそこで一旦言葉を止めた。




『…………俺は、
どこの誰なんだろうか…………………ってたまに考えてしまうよ……
この家で祖母さんと暮らして…………
畑を耕したり牛の世話をしてるとさ………
自分を実感できるから。


だから、後を継ぐことにした』







『…………検査は、
してないの…………』


『ん?
ああ、血の?
…………したよ』


『え………』


『………俺は父さんの子じゃなかったよ。その頃は未だ、父さんは1人で大阪に住んでたし。
鑑定結果は祖母さんにも見せた。
祖母さんは悔しげに泣いてたな。高校生の頃に調べたよ』


『……………貴斗は……………それでいいの』

『えっ?』

『本当の……血の繋がった父親が誰か………
調べなくても………』






『………良いかなと思ってる。
そもそも、祖母さんと母さんすら血の繋がりが無いんだ。里親制度で手続きしたらしいしね。それに………母さんも口も聞けない状態なんだ。仕方ないんだよ』





『…………不思議だよ』
『え?』
『こんな話を誰かに直接したのは、
めぐるが初めてだ』
『……………』
『何でかなぁ……
悲しく、ない……』


最後は1人言のようになり、
貴斗はスースー……
と寝息を立て始めた。





めぐるはいたたまれない気持ちに襲われた。
ただただ、涙が流れた。


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