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花咲く夜に
第7章 離脱
そして息を吐いて、
意を決したように話す。


『アタシと美世には血の繋がりがない。
だけどね貴斗………
アタシにはあの子だけが我が子なんだ。
そして貴斗。
お前だけが孫だと思って生きてきた。

嫌な訳がないだろう』




貴斗は、
肩のチカラを抜いた。


『祖母さん………
母さんは、
その人を好きだったのかな。
父さんと一緒になってまで逢いたかったのは…………………』


昭恵が押し黙る。


『小さい時の記憶だけれど。
母さん、
何か辛そうだった。苦行に耐えてるみたいに。
父さんは母さんを本当に好いてるのが分かったし、
父さんは………
俺から見ても父親らしい人だよ、ずっと』



昭恵は、
伏せていた瞳を開いて卓上に両手首を載せて指を組んだ。。
『……………あの子は、
美世は………
アタシが追い詰めた、きっと』

『え?』

『…………初婚のときも、幸久さんと出逢ってからも。
ずっと愛情が何か分からないような欲してる部分があった。
それを〔本人の問題だ〕と放置していたアタシに責任はある。
だけれど……
東京に〔旅行〕に行く時のあの子はいちばん輝いてた気がする』


昭恵は立ち上がり、
台所の入り口の足元に置いたままのボストンバッグをガサゴソ漁る。


白い、
縦長い便箋。。


うったてがしっかりした癖のあるペン字で、
【貴斗様】と書かれている。
『…………もしかして………………
父さん?』


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