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花咲く夜に
第7章 離脱
その日は皆自室へと引き上げ、
静かな夜となる。


何時もより、
更に……。



9時過ぎ、めぐるは釜風呂を湧かすために外へ出た。


湯船に水を張り、薪をくべて火を点ける。
暗闇のなかで赤い炎がパチパチと弾き揺らめいている。


ザリッと足音がして振り返った。

『…………昭恵さん』

昭恵が、
立てっていた。
めぐるの隣に来てしゃがむ。
めぐるもしゃがんで、
火を煽るため団扇で軽く扇ぐ。



『めぐるちゃん。
済まないね、
変な家に巻き込んじまって』
珍しく気弱げに眉を下げて笑う。
昭恵は70代とは思えないほどの肌の強さで、
シワが少ない。


浅黒く、強さを思わせる顔つきが昭恵を若く見せていた。
白髪混じりの髪をほどいている。
肩の上でうねっている。

めぐるは痛々しい気持ちになり、
『いえ…………
そんなことないです』
と呟いた。


『…アタシはねぇ、
子供が出来なくてさ。
美世を施設から連れてきて、育てた。
もちろん自分の子供だよ。気持ちはさ………

だけどそれもアタシのエゴだったのかね。

美世は貴斗に似ててキレイな顔をしているのに、
黙って何時も何を考えているのか分からない子でね。
反抗もなく、
怒鳴り合ったことも……………
無いね。』


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