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花咲く夜に
第7章 離脱
回想しているのだろう、
探るような迷うような……自分に言い聞かせるような口調だ。


『アタシには、
本当の家族の形が分からない。
自分の血が繋がった子なら、
違ったんだろうか?
美世は幸せになれたのだろうか?

………タカにあんなコトをせずに済んだのか?


…………そんな事ばかり考えて暮らしてきたよ』



めぐるは何も言えず、
ただ聞いている。
『…………はは、
ごめんなぁ。
めぐるちゃんにはまた別の話だしねぇ』


『……いえ!
……………貴斗さんの、
大事なことなら私にも大事なんです。
ちゃんと知りたいし聞きたいですから』



昭恵は驚いたように目を見開いて、
『…………めぐるちゃん。ありがとうね。
貴斗の傍にいてくれてさ。
アンタはちゃんとした家で育って、
暖かさをきちんと知ってる。
いやね、血の繋がりの話じゃないよ。……アンタを見ていて「血は関係ないのかもしれないな」と思ったんだ』

『………………………』


『アンタが来てからタカは変わったよ。

よく笑って、
朗らかな雰囲気が増えた。
婆の贔屓目かもしれないけどね。………だから』


昭恵は力を込めて、
『だから、
あの子の傍にいてやってくれんかね?
これからも』
と言い立ち上がり『さぁ、今日は一番風呂もらっていいかね?』と明るく言う。


『は、はい。もちろんどうぞ!』

めぐるは、
昭恵の〔本音〕を聞いた気がした。
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