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花咲く夜に
第2章 移転
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というか、
祖母の笑い声を久しぶりに耳にした。
めぐるは貴斗の後を着いてくる。
『アナタ仕事とご家族は?』
貴斗は背中を向けたまま訊ねた。
『仕事は派遣社員でしたが迷惑がかかると思って1週間前に辞めました。
家族は離れた場所に居ます。
住んでたアパートは引き払ってきましたし』
……ふーん。
1人暮らししてたのか。
『あ。
良いこと思い付いた。
アナタこの仕事手伝ってよ!』
貴斗は振り返ってめぐるにそう告げた。
もちろん冗談である。
が……
めぐるは『えっ、
良いんですか??!』
とさらに目をキラキラさせた。
(えっ、マジか……)
跳ねんばかりの嬉しそうなめぐる。
妙に牛舎にマッチングした雰囲気の彼女を見て、
貴斗は『冗談だ』とも言えずに『………じゃあ糞を集めてね………』
と要領を説明した。
めぐるは首を括ろうとした夜のままの格好(ジーパンにセーター、ダウンコート)
で地べたに這いつくばって糞を集めた。
軍手だけは借りた。
『あのー、
緑のバケツに入れていいんですか?』
『うん』
『プラスチックが落ちてましたが、
これは?』
『それは危険物入れと同じ青のバケツ』
『はい、分かりました』
――よく働く。
貴斗は最初の印象から、
病んでるのかなと思っていたけど、
そうでもないようだ。
大体、20代の女性でこういう作業を嫌がらない人は皆無だ。
見るのと実際にするのでは大差がある。
が、
めぐるは(多少もたついているし転びそうになっているけど)嫌がる素振りもなく指示通りに走り回っている。
祖母の笑い声を久しぶりに耳にした。
めぐるは貴斗の後を着いてくる。
『アナタ仕事とご家族は?』
貴斗は背中を向けたまま訊ねた。
『仕事は派遣社員でしたが迷惑がかかると思って1週間前に辞めました。
家族は離れた場所に居ます。
住んでたアパートは引き払ってきましたし』
……ふーん。
1人暮らししてたのか。
『あ。
良いこと思い付いた。
アナタこの仕事手伝ってよ!』
貴斗は振り返ってめぐるにそう告げた。
もちろん冗談である。
が……
めぐるは『えっ、
良いんですか??!』
とさらに目をキラキラさせた。
(えっ、マジか……)
跳ねんばかりの嬉しそうなめぐる。
妙に牛舎にマッチングした雰囲気の彼女を見て、
貴斗は『冗談だ』とも言えずに『………じゃあ糞を集めてね………』
と要領を説明した。
めぐるは首を括ろうとした夜のままの格好(ジーパンにセーター、ダウンコート)
で地べたに這いつくばって糞を集めた。
軍手だけは借りた。
『あのー、
緑のバケツに入れていいんですか?』
『うん』
『プラスチックが落ちてましたが、
これは?』
『それは危険物入れと同じ青のバケツ』
『はい、分かりました』
――よく働く。
貴斗は最初の印象から、
病んでるのかなと思っていたけど、
そうでもないようだ。
大体、20代の女性でこういう作業を嫌がらない人は皆無だ。
見るのと実際にするのでは大差がある。
が、
めぐるは(多少もたついているし転びそうになっているけど)嫌がる素振りもなく指示通りに走り回っている。
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