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花咲く夜に
第3章 興味
めぐるは湯を8分目まで張ると、
外に回り火を着けた。

可燃ゴミも投げ込む。


燃やしている間に2階の自室に上がり、
下着とスウェットを持った。
(あれっ?)
スマホが何やら震えている。

「着信 葛城貴斗」
3件……4?ごっ、5件?

『えっ、まさか事故?!』

驚いて階段をかけ下りて、昭恵に『貴斗さんから何度も着信がありました。緊急でしょうか?』
と告げた。


昭恵は、テレビから顔を上げて『掛け直したの?』
と眉間にシワを寄せる。


『あっ………
まだでした………』
スミマセン、
と頭を下げてとりあえず掛け直した。


外に回って火を見ながら。

トゥルルル……
トゥルルル……
(出ないなぁ。
事故……かな………)
めぐるは心配から動悸がした。

『……もしもし…』


『あ、何だ無事だった』
安堵から声が漏れた。

『……何で出ないの』

『えっ。
……あっ、昭恵さんと夕飯作ってたの。
急用でしょうか?』


『急用………
がないと掛けちゃダメなのか?』

『いえ………
事故かと心配したし』


めぐるは通話しながらも座敷間に戻り、
ジェスチャーで(大丈夫でした)と昭恵に知らせた。
片手指でマルを作って。


『貴斗さん、今どこなんですか?』
友達とでも飲んでるのかなと思って訊ねる。

『病院』

『えっ、やっぱり事故?!』

『俺じゃないよ。
……知り合いだ。
悪かった、じゃな』
プツッと切れた。

ツーツーツー……と機械音が響き、
めぐるは暫く口を開けてポカンとした。
『……まぁ、無事?なのよね?』
確認するように呟き、
風呂場へ向かった。


(そうだ、メッセージ入れとこう)
貴斗のアドレス―――昨夜交換したのだ――――に、【大丈夫ですよね?
ゆっくり気をつけて帰ってきてください。】
とメッセージを送信した。

風呂に浸かりながら、
めぐるは『はぁ〜〜〜。
温まるー』
と伸びをする。

不意に昨夜、
ホテルで交わした情事が脳裏を過った。
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