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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第1章 初めまして、恋するアイドルみゆりです❤︎
盛大に音を立てて転んだ。
床が水浸しになって私もびちゃびちゃに濡れた。
当然、八反田さんから借りたTシャツも……。

「何があった?」

八反田さんの声が降り注いで背後を振り仰いだ。
いつもの無表情。
なにやらかしてんだ?
現場の状況で瞬時にそう判断した声色だった。

「勝手にこの子が躓いて転んだんですよ」

「大丈夫!?怪我してない!?」

「みゆりんおっちょこちょいだもんね!」

私を突き飛ばした3人は、さも知らないふりをする。
それどころか天使キャラを装いはじめた。
な、なんつう肝の座った子達……。

「みゆり……!うそっ……大丈夫⁉︎」

A班にいたるかちゃんが八反田さんの影から飛び出してきて、私を助け起こしてくれた。

「大丈夫だよ、るかちゃん……心配ないよ……」

「良かった……つか、お前らみゆりのこと突き飛ばしただろ⁉︎みゆりはドジっ子だけど、こんな風に自分の失敗で泣いたりしないよ!」

「るかちゃん……」

悔しさで涙が溢れていた。
るかちゃんの優しさで、さらに泣き腫らしそうになる。
その寸時だった。

「風間、そのまま俺とスタッフルームに来い。そこの3人は、それ、バケツとか床片付けろ」

八反田さんが間に割って入った。
性悪達が顔を歪ませる。

「え?私達がですか?」

八反田さんは私を手で促しながら3人に微笑んだ。

「3人はなんでも出来るから、きっと仕事も早いだろ?だからお願いしていいか?」

その言葉に彼女達はにんまりとして顔を見合わせ2つ返事で頷いていた。
このとき私はただただ悔しかったのだ。
何も言い返す言葉さえ見つからない。
私はいつもそう。
耐えて、我慢して、泣いて。
手遅れになる……。

「こっちへ来なさい」

泣きながら八反田さんとその場を後にするしかなかったから。









「とりあえず、これ、被っててくれ。さすがにその格好は…………まずい」

再びスタッフルームのパイプ椅子に座らされた私。
チラチラ視線の居所を探している八反田さんは、さっきまで自分が着ていたパーカーを私に放り投げた。
ブラがすっかり透けている。
そして荷物の中からフェイスタオルを1枚取り出した。
拭きなさいってことだろう。
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