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たとえそこに、愛がなくとも
第2章 ふしだらな身体

そのまま私たちはタクシーでホテルへと向かった。
部屋を選びエレベーターに乗り込むと、彼は両腕を壁につき私を閉じ込める。
彼と熱い視線を絡めれば、自然と彼のことが欲しくなってしまった。この1週間、あんなに彼を嫌がっていたのに。
「ななみ」
低く甘い声で名前を呼ばれるが、それは私の名前じゃない。なんだか寂しくなる。
「どうした?不満そうな顔してる」
そういう彼は意地悪に口角をあげるから、きっと理由を知っているんだ。
「……意地悪」
「そういう俺が、好きだったんだろう?」
「違……っ」
否定する前に、彼は私の唇を塞ぎ言葉を遮る。
私が目を潤ませているのを確認すると、彼は嬉しそうにさらに深く口づけた。
角度を変えながら舌を絡め取る彼の唇に、望んでもないのに子宮が疼いてしまう。
「……桃」
キスの間、吐息混じりに私の名前を呼ぶ。
ズルイ、こういう時だけ名前で呼ぶなんて……。
「早く俺がほしいか?」
「………別に」
「ふっ、あの頃とは大違いだな。
すぐに素直にさせてやる」
最後にチュッと小さくキスを落とすと、彼は私をエレベーターから部屋までエスコートした。

