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たとえそこに、愛がなくとも
第4章 両サイドからの誘惑

「樹くん、あのね、今週末飲み会があるんだけど、よかったら樹くんも参加しない?」
「いや、俺未成年なんすけど……」
「別にお酒飲まなくていいから、参加するだけ、ね?」
「はぁ……」
彼はあからさまにめんどくさそうな顔をして困り果てる。
本当に、女の人苦手なんだな……。
「樹くんお願い!一回だけでいいから!」
「それって、桃さんも参加するんすか?」
「え?」
突然自分の名前を出され、思わず顔を上げてしまう。
ちなみにその飲み会、私は声をかけられていない。たぶん、意図的にハブられたんだろうけど。
「いや、桃さんは、その……」
「桃さんが来るなら、行ってもいいけど」
「え、何それ……」
「じゃあ行かない」
「はぁ……もうそれでいいよ。じゃあ桃さんも樹くんも、今週末空けといてくださいね?詳しいことは後で連絡するんで」
「う、うん……」
明らか嫌そうな顔でそう言われ、内心苦笑しながらも曖昧に頷く。
「じゃあ俺、仕事戻るんで」
「あ、うん、お疲れ様」
彼が出て行くと、私は本田さんとふたりで事務所に残されてしまう。
彼女の方にチラッと目をやると、フンと顔をそらされ、私は彼女にばれないように小さくため息をついた。

