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たとえそこに、愛がなくとも
第4章 両サイドからの誘惑



翌日、いつも通りに出勤したのはいいものの

「はぁ……ダル……」

全身が怠い。そして腰が痛い。

当然事の最中に翌日の心配をすることなんてできなくて、昨日は随分身体を酷使してしまった。

それなのに、店長はというと

「いらっしゃいませ。

ブレンドコーヒーがお2つですね。かしこまりました、480円でございます」

あいかわらず何でもないような顔をしている。でもどこかスッキリした顔をしている。

それもそうだよね。昨日思う存分発散したんだから。

私は軽くため息をつき、自分のポジションであるキッチンに入った。昼のピークに向けたサンド作りだ。


「中原さん、今手空いてる?」

「今ですか?まあ、空いてますけど」

「ごめんけど、レタス洗ってもらっていいかな?ちょっと間に合いそうになくて」

「あー……はい、わかりました」

サンドに挟むためのレタスを4玉ほど洗わなければならず、手の空いていそうな中原さんに声をかけたのだが、なんだか、いつもよりそっけない。

彼女に何かしてしまったのかと気にするけれど、身に覚えがなかった。

それに、本田さんもなんだか朝から冷たいのだ。

そういえば、ふたりとも大学の試験が近いって言ってたし、疲れてるのかも。

来週のシフト、ふたりの分減らせるように調整してみよう……なんて考えながら、食パンの耳をいそいそと切り落としていた。


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