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たとえそこに、愛がなくとも
第4章 両サイドからの誘惑


サンドを作り終え、休憩をもらうと、ちょうど入れ替わりで桐沢さんが入るところだった。

「お疲れ様」

「お疲れ様です」

「ねえ、来宮さん大丈夫?」

「え?」

あ、もしかして、疲れてるのが顔に出てるのかな……。桐沢さんに心配させてしまうなんて、申し訳ない。

「あ、いえ、全然大丈夫です」

私は自然な笑顔を出しながら彼女に答えた。

「本当に?だってあのふたり、あからさまに態度に出すから……」

「……へ?」

あのふたり?

どうやら私は、彼女の言いたいことを読み間違えたらしい。


「今朝からずいぶんあなたに当たりが強いでしょう?

ふたりとも嫉妬してるだけだから、気にしないで」

「嫉妬?別に私、ふたりに嫉妬されるようなことなんて……」

「もしかして気づいてなかったの?なら余計なことを言ってしまったかも。

ほら、来宮さん、業者の宮野くんとやけに仲がいいでしょう?」

「……それは、まあ」

自覚はないが、実際そうらしい。けど、なんでこのタイミングで宮野くんとのことを嫉妬される必要が……。

「それであのふたりが元から妬いてたんだけど、昨日あなたが、店長の車に乗って帰るところを本田さんが見かけたらしくて……」

「え……」

……なるほど、そういうことか。私が店長にも宮野くんにも手を出しているなんて勝手に勘違いして、ふたりは必要のないヤキモチを妬いているというわけだ。


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