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第6章 遅すぎた自覚

携帯を手に、
武井さんの電話番号をぼんやりを見ていたら、
いきなり手の中の携帯が震え、
ものすごくビックリした。

携帯が震えてるのに、画面には武井祥悟の文字。

今まで見ていた画面と同じ名前の表示に、
直ぐには電話が掛かっているのだとわからなかった。

でも、画面の着信の文字を見て、慌てて電話に出る。

「も、もしもし⁉︎」

「あ、沙織ちゃん。よかった、出てくれて。
連絡貰ってたのに、返せなくてごめん…ちょっと、バタバタしてて。
それに…あんなことしちゃって…」

あんなこと、っていうのは、キスのことか…

思い出しただけで、ちょっと顔が熱くなるのを感じる。

「どの面下げて、って思うだろうけど、本当、後悔してるんだ…友達から、順序立てて行きたかったから…
でも、転勤の話があって、時間がないって思ったら、気持ばっかり焦っちゃって、結局、最低なことしたな、と思って…」