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第7章 男と女の幸せ

「日菜先輩、僕こんなことしなくても本当に……」

言いかけた唇を強引に塞いだのは、繋がれた彼の姿を見て、居ても立ってもいられなくなったからだった。

「あっ……ンッ……せ、先輩っ……はぁっ……」

初めてのキスは抗う男の子の味。

心の準備がまだだったのか、手錠をかけられているせいなのか、怯えて竦む兔のような唇を、日菜は夢中になって啜った。

最初は押し付けただけだった唇は、やがて貪欲に、淫乱になって、相手の反応を引き出そうと躍起になる。

下腹の具合と同じように、トロリと溢れだした唾液を絡ませて、舌を差し込む。

順は両手を胸の前でグーにしたまま、されるがままになっていた。
粗い吐息を立てて、目を閉じ、日菜に吸われる。

「ンッ……ふぅっ……あ、ああっ……日菜先輩っ……キス、気持ちいい……くっ……ううっ」

交わりを終え、唇だけを解放した日菜が言う。

「……これからは、二人きりのときは先輩ってつけないでね」

順はというと、その言葉がわかったのかわからなかったのか、ぼうっとしたまま頬赤らめ、潤んだ瞳で日菜をただ見つめていた。