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夜は、毎晩やってくる。
第8章 届けて欲しいの 前編

というわけで、お姫様といわれましても、どなたかとお間違えじゃございませんこと?

とも思ったけれど、お隣さんがプリンセスだっていう話も聞かないし。
三階建てのワンルームアパートですからね、ここ。

やんごとなき御身分の方が住まう場所ではない。
あたしの部屋の上下左右、みんな朝に分別したゴミを出す一般人……のはず。

と、外でヒヒイーンという大きないななき声がしてギョッとして我に返る。

マジか。馬だよ。馬で来てる。
本物だこれ。
絶対、白い馬に違いない。見なくてもわかる。

白馬に乗った王子様。
来ちゃった。あたし、短冊にそんな願い事書いたっけ?

いやいや、今はそんな季節じゃないだろう。
もういくつ寝るとクリスマスって時期ですよ。先月あたりからデパートではジングルベルがジャンジャンかかっているのよ。

あっ、じゃあ靴下に入れてあるサンタさんへのお願いの手紙にそんなこと書いたのだったかしら?

いやいや、あたしゃーいくつやっちゅうねん!
ストッキングなお年頃なのよ!
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