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夜は、毎晩やってくる。
第9章 届けて欲しいの 後編
王子様を家に呼んで、それでどうするつもり?
何を期待しているの?
それは照男に対する裏切りではないのかしら。
……ううん、まだ何をするって決まったわけじゃないし。
そう、ちょっと試してみるだけだよ。変わったサービスだから好奇心ってやつ。
あの人にまた会っても、何もしない、起こらない。
そう自分に言い聞かせて、再び商品検索に戻る。
自分に嘘をついていることはわかっていたれど。
※ ※ ※
「またお目に掛かれましたね」
三日後、王子様は再びあたしのアパートの部屋の玄関口に立っていた。
同じ服装。同じ人。うっとりしてしまうあの微笑み。
……でも、ひとつだけ違うことが。
「これはこれは、お美しい姫様でございますな。王子のお眼鏡にかなったのも頷けますぞい! ウッヒッヒ!」
ハンサムな彼のそばには、背の低いずんぐりとした太鼓腹の、白いあごひげをモジモジャに伸ばした赤ら顔の年配の爺やがついていた。