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スーパーヒーロー
第2章 アンリ
僕は綺麗な花畑の中にいる。
空は青く、雲は白くて大きい。
足元には一面の花々。
暖かくて気持ちいい風が肌に当たる。
そして僕のすぐそばには、大の親友がいる。
ヘンリー?
あいつは今は家でゲームをしているよ。
そう、僕の隣にいるのは、グリーンベース。
僕は彼と手を繋いでいる。
風とは違う暖かい彼の体温が僕の体に伝わってくる。
僕の鼓動はひたすらにドキドキしている。
だって・・・彼がとても綺麗な瞳で僕のことを見つめてくるから。
どうしてそんなに見つめるのか聞いても、彼は何も答えてくれない。
『・・・ジョシュア』
彼が僕の名前を呼ぶ。
彼の透き通った綺麗な声が僕の耳に入って、何かを刺激してくる。
そして次第に彼の顔が近づいてくる。
どうしよう・・・心臓が爆発しそうだ。
『・・・ジョシュア』
僕も彼の名前を呼びたい。
僕の、グリーンベースの名前を・・・
『・・・アンリ・・・』
バンッ!!!!!!
ビクっ!!?
「・・・っ・・・」
激しい音に我に返ると・・・
僕の席には先生の手がおかれていた。
「また夢の中かね?ジョシュア・レイガン君?」
先生は笑っているけど、すごく怖い顔をしている。
静まり返った教室には、クスクスと小さな笑い声が聞こえる。
「す、すみません・・・」
「フンっ・・・君はいつも空想の世界へお出かけだ」
先生がそういうと周りの生徒たちは一斉に笑う。
「今日はいったいどこへお出かけだったのかな?ん?」
「いえっ・・・僕は・・・」
「未来都市か?不思議の国か??・・・それともー、お花畑かな?」
この先生感は鋭いんだ。
先生はニヤニヤしながらお得意のからかい口調で話しを続ける。
「図星か、ははっ・・・まったく、救えん奴だ。落ちこぼれで、そのくせオタク。
授業もろくに聞かないとは・・・ん?これはなんだ?」
「あっ・・・」
「私の授業は美術科ではないんだが???」
先生は僕のスケッチブックを開こうとする。
いくら自分の夢だからといっても、もう笑われるのは嫌だ!
「・・・っ、か、返してくださいっ!!!」
「カーチス先生・・・授業の前にやることがあるのでは?」
「・・・?」
笑いの渦を巻いていた教室の空気が、ある人物の言葉によって
一気に静まり返った。