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他人の妻、親友の夫
第9章 浮気の境界線
しかし口でいうほど、それは楽なものではなかった。
結婚してしばらくは志歩の生理が遅れる度に一喜一憂を繰り返してしまう。
元々生理不順な彼女は思わせ振りに遅れて、その度二人の心に影を落とした。
自分なら志歩を身籠らせてやれる、そんな根拠のない期待が次第に砕かれる。
次第に二人は妊娠のことを意識的に避けるようになっていった。
子供が出来ないという事実より、そういうぎこちなさの方が辛かった。
経済的に頼りにならない上に、妻に子供すら授けてやれない。
負い目が負い目を産み、連鎖的に追い込んでしまう。
もちろん志歩の方も懐妊できない焦りを募らせているようだった。
あれほど仲睦まじかった二人の間にも、埋まらない亀裂が綻び始める、そんな時期に千田夫妻との夫婦交換は始まっていた。
息苦しさを感じ始めていた二人にも、この狂気の悪ふざけはなにか好転をもたらしてくれるものと、期待しているところがあった。
結婚してしばらくは志歩の生理が遅れる度に一喜一憂を繰り返してしまう。
元々生理不順な彼女は思わせ振りに遅れて、その度二人の心に影を落とした。
自分なら志歩を身籠らせてやれる、そんな根拠のない期待が次第に砕かれる。
次第に二人は妊娠のことを意識的に避けるようになっていった。
子供が出来ないという事実より、そういうぎこちなさの方が辛かった。
経済的に頼りにならない上に、妻に子供すら授けてやれない。
負い目が負い目を産み、連鎖的に追い込んでしまう。
もちろん志歩の方も懐妊できない焦りを募らせているようだった。
あれほど仲睦まじかった二人の間にも、埋まらない亀裂が綻び始める、そんな時期に千田夫妻との夫婦交換は始まっていた。
息苦しさを感じ始めていた二人にも、この狂気の悪ふざけはなにか好転をもたらしてくれるものと、期待しているところがあった。