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他人の妻、親友の夫
第9章 浮気の境界線
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午前十一時を五分過ぎたところでインターフォンが鳴る。

海晴がドアを開けると、そこには約束通り理依が立っていた。

「すいません、わざわざお越しいただいて……」
「いいえ。どうせ今日は暇をしてましたから」

微笑む理依はベッドの上とはまるで違う、慎ましい美しさを湛えている。

ソファーに座った志歩は出された烏龍茶を一口飲む。

「秋彦さんは……元気にされてますか?」
「ええ。おかげさまで。最近は学会の準備で忙しいみたいですけど」

親友の夫とはいえ二人きりの空間は、どことなく緊張するのか表情は少し固かった。
ましてや二人は互いのパートナー了承の上とはいえ、セックスまでしてしまっている間柄だ。

「その……相談と言いますのは?」

志歩には内緒で相談にのって欲しい。そう言われて理依はやって来ていた。

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