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他人の妻、親友の夫
第9章 浮気の境界線
「秋彦さんは奥さんの淫らなところを視ないと興奮できないそうですね」

質問には答えず、デリケートな話題もオブラートに包まず振る。

「……すいません。海晴さんにあんなことをお願いして……」

理依は目を伏せ、謝罪した。

「やっぱりあのことが原因で……志歩と気まずくなってしまいましたか……?」
「そりゃそうでしょ……理依さんみたいに見せるのが好きなわけでも、秋彦さんみたいに視るのが好きなわけではないんです、俺たちは」

はっきりとした言葉で遺憾を述べると、理依は「ごめんなさい」と深々と頭を下げる。
その姿が何だか憐れに思えてきた。
志歩と自分はその前から歯車が狂い始めていた。
千田夫妻だけが原因ではない。

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