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他人の妻、親友の夫
第9章 浮気の境界線
馬鹿げているのは分かっている。
それでも海晴にはなにかすがるものが欲しかった。

理依は暴れ、仕方なく海晴はソファーに押し倒す。
薄手のニットを捲るとベージュのスリップを身に付けていた。
そのままニットを剥ぎ取り、首筋から鎖骨辺りに顔を埋める。上品な花の香りが立ち込め、噎せそうだ。

「お願いっ……こんな風にしなくてもっ……」

理依は震える声で訴える。

「こんな風にしなくても……? 主人に話を通せばいくらでもセックスが出来るって言いたいの?」

問い詰められて理依は視線を逸らした。

「確かにそうかもしれない。でもそんなやり方ではあの男は興奮しなかったんだろ? 違うか?」

狂人の戯言だが、それは事実である。

「自分の大切なものが無茶苦茶にされる。だから燃えるんだろ、ああいう寝取られ志願者は!!」
「寝取られることなんて秋彦さんは望んでいないっ!!」

窮地に立たされ、彼女もむざむざとやられっぱなしにはなれなかった。
夫の目の前で抱かれた男を相手に、操を守ろうと必死になる。
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