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口琴
第15章 守るべきもの
突然のチャイムに制されてもなお、残る興奮の余韻と、悪戯を見つけられてしまった子どものような罪悪感とが入り交じり、心臓が早打ちしていた。

やはり蕾とは…
許されないのだろうか…
聖は俯いて目を閉じ、深く溜め息をついた。

それから二人は息を殺して、様子を窺った。

新聞の勧誘とかなら、留守だと分かればすぐ帰るだろう。と思っていたが…

ピンポーン…ピンポーン…

執拗に鳴るチャイム。それと同時にドアをノックする音も加わった。

トントントン…トントントン…

「………」

ドンドンドン!ドンドンドン!

「…やっ…こわいっ…」

徐々に激しくなるノックに、蕾が怯えている。

聖は、蕾の肩を抱き寄せて、"大丈夫"と言うように背中を擦った。

すると今度は、ノックと共に男の声がした。

ドンドンドン…

「おい、大崎。いるのか?俺だ。桜木だ。いたら開けてくれないか?」

ドンドンドン…

「セブン?!」

聖は立ち上がり、インターフォンのスイッチを押した。

「先生…」

モニターに、セブンの不安そうな顔が映し出された。

「あぁ、良かった。いたのか。ちょっと開けてくれないか?話がしたい」

「先生…やっぱ俺、犯人にされちゃったの?やってないよ!」

「ああ、分かってる。だからその事で話が…」

モニターの隅に、セブンじゃない誰かの足が映った。

スーツのスラックスに革靴。
二人?…いや、三人?…

「…先生、誰かいるの?先生一人じゃねぇの?」

「…ん、警察がな?…。お前の話をちゃんと聞きたいって言うから…。やってないんなら、ちゃんと無実を証明しよう。俺がついてる。な?だからちょっとだけ開けてくれ。頼む」

「…先生も…疑ってんだ…」

「…それは違う!大崎。ちゃんと話を聞け!」

「…分かった…。俺は何もしてない。だから逃げも隠れもしない。先生にも誰にも頼らない。ちゃんと自分で、潔白を証明するよ」

そう言ってインターフォンを切ると、蕾をレッスン室に行くように言った。

「いいか?絶対に何があっても、ここから出てくんなよ?分かったな?」

「…聖君…」

不安そうに見つめる翡翠の瞳。

「大丈夫。心配すんな」

聖は、ニッコリと微笑んで見せた。
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