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口琴
第15章 守るべきもの
ドアを開けると、セブンが神妙な顔で立っていた。
「…大崎…」
セブンが何か言いかけた時、後ろにいた刑事の一人がセブンの前に割り入って
「大崎 聖君だね?急にお邪魔してごめんね?おじさんは、東署の森下と言います。こんにちは」
森下と名乗ったその中年の刑事は、警察手帳を背広の内ポケットから出し、聖に見せながら、優しい口調で話し掛けて来た。
「今、一人?ご両親は?」
刑事ドラマの、捕り物のシーンみたいな荒々しさはなく、穏やかな物腰ではあったが、森下の目は笑っていなかった。
「…俺一人です。両親は不在です」
「そう。ご両親は今、どちらに?」
「…昨日から、九州へ。秋の公演のツアーで…」
「…昨日から…。で、いつ帰って来るの?」
「…あの、ご用件は?…」
「ああ、ごめんね。ちょっと君に聞きたいことがあってね?」
「だから、はっきり言ってください」
「君、昨日の夜七時前後はどこにいたの?」
「………」
「ん?どうしたの?言えないの?」
「…ハーモニカを吹いてました…」
「…ハーモニカ?どこで?」
すると、セブンがオロオロとしながら口を挟んだ。
「そ、そうだよな?お、お前ハーモニカ吹いてたんだよな?学校の、音楽室にいたよな?」
「………」
「そうなの?本当の事を話して?」
「俺、希望ヶ丘の公園で吹いてました」
「大崎!何言ってんだ!ち、違うんですよ刑事さん、こいつちょっと頭が混乱しちゃってて。な?違うよな?大崎?」
「………」
「桜木先生、下手をすると、犯人隠避に問われますよ?」
「…えっ!…」
セブンは青ざめて、口ごもった。
「…先生、大丈夫。俺、何もしてないから」
「もう少し、詳しく聞きたいんだが…。ちょっと署までおじさん達と一緒に来てくれるかな?」
「はい…」
「大崎…俺も一緒に行くからな?いいでしょ?刑事さん」
「そうですね。ご両親がいらっしゃらないので、先生が保護責任者と言うことで…。それから、この子のご両親に早急に連絡して、できるだけ早く呼んで下さいますか?」
「…はぁ…」
セブンは、弱々しく項垂れた。
森下は、部下の刑事に現場での聞き込み調査を命じ、聖の肩に手を回して外へ連れ出した。
玄関を出る間際、聖がチラッと家の奥を気にするように見たのを、森下は見逃さなかった。
「…大崎…」
セブンが何か言いかけた時、後ろにいた刑事の一人がセブンの前に割り入って
「大崎 聖君だね?急にお邪魔してごめんね?おじさんは、東署の森下と言います。こんにちは」
森下と名乗ったその中年の刑事は、警察手帳を背広の内ポケットから出し、聖に見せながら、優しい口調で話し掛けて来た。
「今、一人?ご両親は?」
刑事ドラマの、捕り物のシーンみたいな荒々しさはなく、穏やかな物腰ではあったが、森下の目は笑っていなかった。
「…俺一人です。両親は不在です」
「そう。ご両親は今、どちらに?」
「…昨日から、九州へ。秋の公演のツアーで…」
「…昨日から…。で、いつ帰って来るの?」
「…あの、ご用件は?…」
「ああ、ごめんね。ちょっと君に聞きたいことがあってね?」
「だから、はっきり言ってください」
「君、昨日の夜七時前後はどこにいたの?」
「………」
「ん?どうしたの?言えないの?」
「…ハーモニカを吹いてました…」
「…ハーモニカ?どこで?」
すると、セブンがオロオロとしながら口を挟んだ。
「そ、そうだよな?お、お前ハーモニカ吹いてたんだよな?学校の、音楽室にいたよな?」
「………」
「そうなの?本当の事を話して?」
「俺、希望ヶ丘の公園で吹いてました」
「大崎!何言ってんだ!ち、違うんですよ刑事さん、こいつちょっと頭が混乱しちゃってて。な?違うよな?大崎?」
「………」
「桜木先生、下手をすると、犯人隠避に問われますよ?」
「…えっ!…」
セブンは青ざめて、口ごもった。
「…先生、大丈夫。俺、何もしてないから」
「もう少し、詳しく聞きたいんだが…。ちょっと署までおじさん達と一緒に来てくれるかな?」
「はい…」
「大崎…俺も一緒に行くからな?いいでしょ?刑事さん」
「そうですね。ご両親がいらっしゃらないので、先生が保護責任者と言うことで…。それから、この子のご両親に早急に連絡して、できるだけ早く呼んで下さいますか?」
「…はぁ…」
セブンは、弱々しく項垂れた。
森下は、部下の刑事に現場での聞き込み調査を命じ、聖の肩に手を回して外へ連れ出した。
玄関を出る間際、聖がチラッと家の奥を気にするように見たのを、森下は見逃さなかった。