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口琴
第15章 守るべきもの
蕾は、怯んで怪訝そうに聖を見つめた。
どうして?…
それを見た森下は、ポンと聖の肩を軽く叩いて、椅子へ座らせた。
「…よし、分かった。事情は後でゆっくりと訊くことにして…君があの時間、ハーモニカを吹いていたことは立証できた。君を疑った事を謝りたい。すまなかった…」
担任からは、この少年の家族は父母だけだと聞いていたし、いくらなんでもハーフの子が妹だなんて、嘘にも程があるだろうと思ったが、少年の思惑を知るためにこの場を収めた。
「いえ…分かってもらえれば…。じゃぁ、僕達これで失礼します」
立ち上がり、蕾の手を引いてドアへ向かう。
早くこの場を離れたかった。これ以上警察に詮索されるのはマズい。蕾の事を探られる前に…さっさと…
「ちょっと待って。もう少し訊きたいんだが…」
ドキッとして足が止まる。
「もう話すことはありません」
キッパリと答えて、再び歩き出した聖。
「君じゃなくて、その…妹…さん?…に訊きたいんだ…。
ハーモニカを持ってきたのは、彼が犯人ではない事を証明したかったから…。そうだね?」
蕾がコクリと頷く。
「…聖君が守ってくれたの。このハーモニカで私をあの家から助け出して…ングッ!」
「蕾っ!余計なことを言うな!」
聖は焦って、蕾の口を掌で押さえた。
「…助ける?…さっきもそんな風な事を言っていたね?君、あの火事の中にいたの?」
「ングッ…ンン…」
「何でもないんです。ちょっとしたゲームで…かくれんぼ的な?…ハハッ…」
聖が必死で誤魔化そうとするのを見て、蕾は大人しくなった。
「君はあの日、中條家にいたんじゃないの?さっきのお巡りさんにも火事の事を知ってるって言ったんだよね?…。中條氏とはどういう関係?…」
「………」
蕾は何も言わなかった。
「そんな事どうだっていいだろ?火事とは関係ない事が証明されたんだ。もう、俺達に関わらないで!」
「聖君…君は何を隠し、何を守ろうとしているんだ…」
「…俺が…蕾を守る!」
「…ふむ…。まあいいだろう。今日は馴れない取り調べで疲れただろう?君は先生と一緒に帰りたまえ。でも蕾ちゃん…だっけ?彼女は、身元など我々が調査して保護する責任がある。心配しないで任せてくれないか?大丈夫。今度は我々が彼女を守るから…」
「蕾は妹だ!俺が守る!お前らなんかに渡さないっ!」
どうして?…
それを見た森下は、ポンと聖の肩を軽く叩いて、椅子へ座らせた。
「…よし、分かった。事情は後でゆっくりと訊くことにして…君があの時間、ハーモニカを吹いていたことは立証できた。君を疑った事を謝りたい。すまなかった…」
担任からは、この少年の家族は父母だけだと聞いていたし、いくらなんでもハーフの子が妹だなんて、嘘にも程があるだろうと思ったが、少年の思惑を知るためにこの場を収めた。
「いえ…分かってもらえれば…。じゃぁ、僕達これで失礼します」
立ち上がり、蕾の手を引いてドアへ向かう。
早くこの場を離れたかった。これ以上警察に詮索されるのはマズい。蕾の事を探られる前に…さっさと…
「ちょっと待って。もう少し訊きたいんだが…」
ドキッとして足が止まる。
「もう話すことはありません」
キッパリと答えて、再び歩き出した聖。
「君じゃなくて、その…妹…さん?…に訊きたいんだ…。
ハーモニカを持ってきたのは、彼が犯人ではない事を証明したかったから…。そうだね?」
蕾がコクリと頷く。
「…聖君が守ってくれたの。このハーモニカで私をあの家から助け出して…ングッ!」
「蕾っ!余計なことを言うな!」
聖は焦って、蕾の口を掌で押さえた。
「…助ける?…さっきもそんな風な事を言っていたね?君、あの火事の中にいたの?」
「ングッ…ンン…」
「何でもないんです。ちょっとしたゲームで…かくれんぼ的な?…ハハッ…」
聖が必死で誤魔化そうとするのを見て、蕾は大人しくなった。
「君はあの日、中條家にいたんじゃないの?さっきのお巡りさんにも火事の事を知ってるって言ったんだよね?…。中條氏とはどういう関係?…」
「………」
蕾は何も言わなかった。
「そんな事どうだっていいだろ?火事とは関係ない事が証明されたんだ。もう、俺達に関わらないで!」
「聖君…君は何を隠し、何を守ろうとしているんだ…」
「…俺が…蕾を守る!」
「…ふむ…。まあいいだろう。今日は馴れない取り調べで疲れただろう?君は先生と一緒に帰りたまえ。でも蕾ちゃん…だっけ?彼女は、身元など我々が調査して保護する責任がある。心配しないで任せてくれないか?大丈夫。今度は我々が彼女を守るから…」
「蕾は妹だ!俺が守る!お前らなんかに渡さないっ!」