この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
口琴
第16章 妹の体温
「どうした?座れよ」
「…ん…ありがと…。お父さんやお母さんは?」
「あぁ、恒例のドサ回り。明後日まで帰らないんだ」
「そう…。お邪魔してもいいの?…」
「いいに決まってんだろ?遠慮すんな。ほら」
躊躇って突っ立ったままの蕾に、聖がソファへ座るように促すと、蕾は遠慮がちに腰を下ろした。
「…………」
「…………」
沈黙が続いた。
改まると何だかお互いに気恥ずかしい…
「…あのさ…」
「…あの…」
同時に口を開く。
ハッとして見つめ会うと、またお互いにプッと吹き出した。
「…聖君…ありがとう。お礼が言いたくて…どうしても、どうしても逢ってお礼を言わなくちゃって…」
「いいよ…そんなの…。それよりさ…元気だったのか?…」
「うん。元気だっよ?聖君は?」
「俺は、ずっと元気」
「そっか…良かった」
それから二人は、今の生活や学校、友達の話など、尽きることのない話で、会えなかった日々を埋めようとした。
しかし、あの事件の事には、二人とも触れようとはしない。
「今日、お誕生日だね?十七歳。おめでとう」
「…ありがとう…」
「そうだ!プレゼント…」
そう言いながら、鞄を開けようとした蕾の手を聖が止めた。
「ん?」
不思議そうに、聖を見上げる蕾。
「今日は、クリスマスイブ。二人でパーティーしようか?」
「うん!」
蕾は大きく頷いて、満面の笑みで微笑んだ。
「でも、ケーキとかないや…。一緒に買いに行こ?」
「うん!」
すぐそこのコンビニ。
雪の降る道を二人で歩く。
相合い傘が照れくさい…。
付かず離れずの微妙な距離。
コンビニ、もう少し遠ければいいのに…。
「なあ…」
「ん?」
聖を見上げる。
前を向いたままの聖。
聖君、こんな背、高かったっけ…。
「…泊まってけよな…」
「…あ…でも…私、今夜キミちゃんのお友達んちに…」
「一緒にいたい。お前と」
少し強い口調の聖に、蕾の胸はまた"キュン"と鳴った。
コンビニで、クリスマス仕様に飾られたイチゴのショートケーキや、お菓子、ジュースなどを買って店を出る。
コンビニ横にある公衆電話。蕾はプッシュホンを押す。
ドキドキしていた…
ガチャン…
『はい。あすなろの家です』
キミちゃんの声…。
少し後ろめたい気持ちで、おずおずと口を開いた。
「…ん…ありがと…。お父さんやお母さんは?」
「あぁ、恒例のドサ回り。明後日まで帰らないんだ」
「そう…。お邪魔してもいいの?…」
「いいに決まってんだろ?遠慮すんな。ほら」
躊躇って突っ立ったままの蕾に、聖がソファへ座るように促すと、蕾は遠慮がちに腰を下ろした。
「…………」
「…………」
沈黙が続いた。
改まると何だかお互いに気恥ずかしい…
「…あのさ…」
「…あの…」
同時に口を開く。
ハッとして見つめ会うと、またお互いにプッと吹き出した。
「…聖君…ありがとう。お礼が言いたくて…どうしても、どうしても逢ってお礼を言わなくちゃって…」
「いいよ…そんなの…。それよりさ…元気だったのか?…」
「うん。元気だっよ?聖君は?」
「俺は、ずっと元気」
「そっか…良かった」
それから二人は、今の生活や学校、友達の話など、尽きることのない話で、会えなかった日々を埋めようとした。
しかし、あの事件の事には、二人とも触れようとはしない。
「今日、お誕生日だね?十七歳。おめでとう」
「…ありがとう…」
「そうだ!プレゼント…」
そう言いながら、鞄を開けようとした蕾の手を聖が止めた。
「ん?」
不思議そうに、聖を見上げる蕾。
「今日は、クリスマスイブ。二人でパーティーしようか?」
「うん!」
蕾は大きく頷いて、満面の笑みで微笑んだ。
「でも、ケーキとかないや…。一緒に買いに行こ?」
「うん!」
すぐそこのコンビニ。
雪の降る道を二人で歩く。
相合い傘が照れくさい…。
付かず離れずの微妙な距離。
コンビニ、もう少し遠ければいいのに…。
「なあ…」
「ん?」
聖を見上げる。
前を向いたままの聖。
聖君、こんな背、高かったっけ…。
「…泊まってけよな…」
「…あ…でも…私、今夜キミちゃんのお友達んちに…」
「一緒にいたい。お前と」
少し強い口調の聖に、蕾の胸はまた"キュン"と鳴った。
コンビニで、クリスマス仕様に飾られたイチゴのショートケーキや、お菓子、ジュースなどを買って店を出る。
コンビニ横にある公衆電話。蕾はプッシュホンを押す。
ドキドキしていた…
ガチャン…
『はい。あすなろの家です』
キミちゃんの声…。
少し後ろめたい気持ちで、おずおずと口を開いた。