この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
口琴
第17章 口琴
リビングのソファーに案内され、緊張しながら座る。
そこに聖の姿はなかった。
聖が現れたら、どんな顔をすればいいのだろう…。
覚悟を決めてきたつもりだが…。
なんとも気まずい空気と沈黙が、三人を襲う。
すると、朋香が慌てて立ち上がり
「あ。お茶忘れてた!ごめんなさい!」
「いえ、お構い無く…」
紅茶と一緒に、梨絵の手土産のフィナンシェがテーブルに出され、梨絵は丁寧に頭を下げた。
「こ、この度は…会って下さり、とても感謝しております。ありがとうございます」
「梨絵…そんなに堅くならないで?ね?」
「…………」
梨絵は、少し狼狽えながら二人の顔を見た。
「そうだな…そんな風に畏まって話されると、こっちまで緊張するよ…」
「あ…ありがとう…」
梨絵は少し頬を染めて、また頭を下げた。
「梨絵…こちらこそ、ありがとう。そして、ごめんね?…」
「朋香達が謝ることなんて、何もないわ?謝らなければいけないのは、私の方…。色々ご迷惑や、ご心配をかけて、本当にごめんなさい。」
「…それより、体調はどう?」
「ええ、ありがとう。少しずつ良くなってるの。付添人となら、こうして外出もできるの。あ、今日もその付添人に送ってもらって…」
「そう。良かった…」
「私のしたことは、決して許されることではないの…。でも…でもね?…あの子は…あの子には、何の罪もないのよ…全部私の責任…」
梨絵は両手で顔を覆い、声を詰まらせた。
「梨絵…」
朋香は梨絵の背中を擦った。
惣一は、何も言わず俯いていた。
「私達も、あなたの力になってやれなくてごめんなさい。あなたの人生を狂わせたのは、私達にも責任があるわ?」
「朋香、惣一さん、そんなことを言わないで?私が惣一さんと別れることになったのは、私のせいなんだから。二人は悪くないの」
「梨絵…」
朋香と惣一の胸は、熱く震えた。
「私が、今日お邪魔したのは、子ども達のこと…」
「あぁ、そうだったな。では、聖を呼んでも?」
惣一が言の言葉に、梨絵の胸がドキン!と音をたてる。
「そ、そうね。今部屋にいるの。呼んできます」
そう言って、二階へと向かう朋香の後ろ姿を、高鳴る鼓動を押さえながら見つめた。
そこに聖の姿はなかった。
聖が現れたら、どんな顔をすればいいのだろう…。
覚悟を決めてきたつもりだが…。
なんとも気まずい空気と沈黙が、三人を襲う。
すると、朋香が慌てて立ち上がり
「あ。お茶忘れてた!ごめんなさい!」
「いえ、お構い無く…」
紅茶と一緒に、梨絵の手土産のフィナンシェがテーブルに出され、梨絵は丁寧に頭を下げた。
「こ、この度は…会って下さり、とても感謝しております。ありがとうございます」
「梨絵…そんなに堅くならないで?ね?」
「…………」
梨絵は、少し狼狽えながら二人の顔を見た。
「そうだな…そんな風に畏まって話されると、こっちまで緊張するよ…」
「あ…ありがとう…」
梨絵は少し頬を染めて、また頭を下げた。
「梨絵…こちらこそ、ありがとう。そして、ごめんね?…」
「朋香達が謝ることなんて、何もないわ?謝らなければいけないのは、私の方…。色々ご迷惑や、ご心配をかけて、本当にごめんなさい。」
「…それより、体調はどう?」
「ええ、ありがとう。少しずつ良くなってるの。付添人となら、こうして外出もできるの。あ、今日もその付添人に送ってもらって…」
「そう。良かった…」
「私のしたことは、決して許されることではないの…。でも…でもね?…あの子は…あの子には、何の罪もないのよ…全部私の責任…」
梨絵は両手で顔を覆い、声を詰まらせた。
「梨絵…」
朋香は梨絵の背中を擦った。
惣一は、何も言わず俯いていた。
「私達も、あなたの力になってやれなくてごめんなさい。あなたの人生を狂わせたのは、私達にも責任があるわ?」
「朋香、惣一さん、そんなことを言わないで?私が惣一さんと別れることになったのは、私のせいなんだから。二人は悪くないの」
「梨絵…」
朋香と惣一の胸は、熱く震えた。
「私が、今日お邪魔したのは、子ども達のこと…」
「あぁ、そうだったな。では、聖を呼んでも?」
惣一が言の言葉に、梨絵の胸がドキン!と音をたてる。
「そ、そうね。今部屋にいるの。呼んできます」
そう言って、二階へと向かう朋香の後ろ姿を、高鳴る鼓動を押さえながら見つめた。