この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
口琴
第17章 口琴
朋香が慌てて駆け寄り、背中を擦った。

「ああ、そ、そうだな。少し横になった方がいい…」

惣一も突然の事態に動揺を隠せない。

「…ハァッ…ご、ごめんなさいっ…だ、大丈夫…少しすれば…ハァッ…治まるから…ハァッ…」

バッグからピルケースを取り出し、水で薬を一錠流し込んだ。

「大丈夫?梨絵…」

「ええ。…ごめんなさい…取り乱してしまって…」

暫くして発作が治まった梨絵は、静かに語り始めた。

「…私は…取り返しのつかない罪を犯した…。娘を…あんな酷い目に…。
娘は、私の心の弱さ故に、大人の冷酷非道な欲望の犠牲になってしまったの…。私さえしっかりしていれば…私がこんなに馬鹿でなかったら…娘をあんな目に遭わせることはなかったのに…。

娘は、幼い躰と心を傷つけられ、誰にも頼ることもできず、孤独の中で悩み、苦しんでいた…。

私は母であるにも関わらず、夫の暴力に怯え、娘を助けることができなかった…。

酷いでしょ?…私には、母親の資格なんて微塵もない…。

聖君の言う通りよ?…

私は、一生この罪を背負って生きて行くことに決めたの。

傷ついた娘の心の支えになってくれたのが聖君、あなただと分かった時、私は……私は……ぅっっ…」

また、涙が止めどなく溢れ、言葉が途切れた。

「…梨絵…」

朋香が梨絵の肩を抱く。

「…ほんとに…ありがとう…ぅっ…」

梨絵は、涙で声を詰まらせながら、話しを続けた。

「娘の為に私ができることは、早く体を治して働くこと。
そして…これは、娘を救うことになるかどうか分からないけれど…どうしても話しておきたくて…」

そう言って梨絵はバッグの中から、何か手紙のような物を取り出した。

よく見ると、それは手紙ではなく、少し黄ばんだ五線紙。綺麗に折り畳まれ、何かを包んでいる。

梨絵は、それを静かに開いた。

包まれていたのは、古ぼけた一枚の写真。

「これ、誰だか分かるわよね?」

梨絵は惣一に、写真を渡した。

惣一達は、食い入るように写真を見る。

「…ダニエル…か?…。ん?…この隣の女性は?…」

「ほんと、ダニエルだわ?あら?…この女性…お腹が…」

写真に写るのは、蕾の実父であるダニエルと、隣に座る白人の妊婦。とても美しい顔立ちで、艶やかに流れるような黒髪の女性だった。
/222ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ