この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
口琴
第17章 口琴
「…兄妹じゃ…なかった?…」
聖は、低く掠れた声で独り言のように呟いた。
「…ええ、そう。あなたと蕾の血は繋がってない。兄妹ではないの。
蕾はあなたに心を寄せ、とても慕っていた。今もそう…。多くの人間の手で、心身ともに傷つけられ続けた娘にとって、聖君…あなただけが、心から信頼できる唯一の人。
その聖君とも別れてしまって…。蕾から笑顔が消えてしまった…。
『兄妹』と言うやるせない運命が、聖君の足枷になっているのだとしたら、私は、本当のことを話すべきなんじゃないないかって…。
二人ともまだ子どもだし、恋愛なんて早すぎるって思うけど…。
ただね?…蕾のことが少しでも聖君の心に残っているのだとしたら…。
とんだ親バカだって、笑ってもいいわよ?…ウフフッ…。でも…私はただ、あの子の笑顔が取り戻せたらって…」
惣一も、朋香も言葉を失い、息の詰まるような空気が澱む。
沈黙を破ったのは聖だった。
「父から、蕾と俺は兄妹だと聞かされてから、ずっと苦しかった…。
兄妹なんて関係ねぇ!って思ったことも何度もあったけど…。
俺がこれ以上蕾のそばにいたら、蕾を苦しめるだけだと思って…。それで…別れを決めたんです…。
でも、もう自分を誤魔化して、騙して、押し込めなくてもいいですよね?俺…やっぱり蕾の事が大好きです!」
「…聖君…あぁ、ありがとう…。あの子、どんなに喜ぶか…。本当にありがとう!」
梨絵はまた涙した。
すると
「聖、お前…でも…あの子は…その……ほら…よく考えろ?」
惣一が、奥歯に物が挟まったような言い方で、聖を制した。
聖は、低く掠れた声で独り言のように呟いた。
「…ええ、そう。あなたと蕾の血は繋がってない。兄妹ではないの。
蕾はあなたに心を寄せ、とても慕っていた。今もそう…。多くの人間の手で、心身ともに傷つけられ続けた娘にとって、聖君…あなただけが、心から信頼できる唯一の人。
その聖君とも別れてしまって…。蕾から笑顔が消えてしまった…。
『兄妹』と言うやるせない運命が、聖君の足枷になっているのだとしたら、私は、本当のことを話すべきなんじゃないないかって…。
二人ともまだ子どもだし、恋愛なんて早すぎるって思うけど…。
ただね?…蕾のことが少しでも聖君の心に残っているのだとしたら…。
とんだ親バカだって、笑ってもいいわよ?…ウフフッ…。でも…私はただ、あの子の笑顔が取り戻せたらって…」
惣一も、朋香も言葉を失い、息の詰まるような空気が澱む。
沈黙を破ったのは聖だった。
「父から、蕾と俺は兄妹だと聞かされてから、ずっと苦しかった…。
兄妹なんて関係ねぇ!って思ったことも何度もあったけど…。
俺がこれ以上蕾のそばにいたら、蕾を苦しめるだけだと思って…。それで…別れを決めたんです…。
でも、もう自分を誤魔化して、騙して、押し込めなくてもいいですよね?俺…やっぱり蕾の事が大好きです!」
「…聖君…あぁ、ありがとう…。あの子、どんなに喜ぶか…。本当にありがとう!」
梨絵はまた涙した。
すると
「聖、お前…でも…あの子は…その……ほら…よく考えろ?」
惣一が、奥歯に物が挟まったような言い方で、聖を制した。