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口琴
第17章 口琴
「父さん?これ以上、俺は何を考えるの?俺達は、兄妹じゃないんだ。それ以上何か問題あるのか?」
「…いや…その…。聖…。あの事件だって…世間では大変な騒ぎだったし、その…梨絵には悪いが…。なぁ朋香…」
惣一の目が、朋香に助けを求める。
朋香は、困惑の色を隠せずオロオロしていた。
「…父さん、はっきり言えよ!父さんは厄介に巻き込まれたくないだけじゃないの?世間体がそんなに大事なのか?まさか…蕾があんな目に遭ったから、汚らわしいとか言うんじゃねぇよな?」
「…いや、そうじゃなくて…その…」
「じゃぁ、何だよ?はっきり言ってよ!」
「…うん、まあ…お前の気持ちも分からんでもないが…。やはり世間の目は、そう甘くない。お前の将来だって…」
「冗談じゃねえ!俺の将来は俺が決める!何が世間体だ!
あいつは…あいつは、親にまであんな目に遭わされて、世間の好奇の目に晒されて、それでも必死で生きようとしていたんだ!苦しんで、苦しんで、何処へも逃げ出せず…。まだ、たったの十歳だったんだぞ!一時は死のうとまでして…。それでも、母親のことや妹のことを思って、必死で生きようとしてた…。
卑劣な大人の犠牲になった蕾は、被害者だ。何の罪もない!
何で、被害者のあいつが厄介者扱いされなきゃなんねぇんだよ!わかんねぇよ!
自分達の都合ばかりで生きて、世間体ばかり気にしてるあんたら大人の方が、ずっと汚ねぇじゃないか!汚れてるのは蕾じゃなく、大人達なんだ!
ハーモニカを買ってくれたお爺ちゃんが言ったんだ。ハーモニカは孤独な楽器。ハーモニカの音色は、孤独な人の心に優しく語りかけるんだって。だから、お前も孤独な人に寄り添える人間になれって…。
大人は、誰もあいつの気持ちを分かってやろうとしなかった。
俺は…俺は絶対あいつを守る!
俺には、蕾の過去なんか関係ないっ!」
「聖…お前…」
一点の曇りもなく、真っ直ぐにこちらを見据える聖の目。
惣一の胸に、寂しいような、嬉しいような奇妙な感情が湧く。
惣一は、言葉を探したが、それ以上何も言えず、深い溜め息が漏れた。
すると、朋香が穏やかな口調で…
「…いや…その…。聖…。あの事件だって…世間では大変な騒ぎだったし、その…梨絵には悪いが…。なぁ朋香…」
惣一の目が、朋香に助けを求める。
朋香は、困惑の色を隠せずオロオロしていた。
「…父さん、はっきり言えよ!父さんは厄介に巻き込まれたくないだけじゃないの?世間体がそんなに大事なのか?まさか…蕾があんな目に遭ったから、汚らわしいとか言うんじゃねぇよな?」
「…いや、そうじゃなくて…その…」
「じゃぁ、何だよ?はっきり言ってよ!」
「…うん、まあ…お前の気持ちも分からんでもないが…。やはり世間の目は、そう甘くない。お前の将来だって…」
「冗談じゃねえ!俺の将来は俺が決める!何が世間体だ!
あいつは…あいつは、親にまであんな目に遭わされて、世間の好奇の目に晒されて、それでも必死で生きようとしていたんだ!苦しんで、苦しんで、何処へも逃げ出せず…。まだ、たったの十歳だったんだぞ!一時は死のうとまでして…。それでも、母親のことや妹のことを思って、必死で生きようとしてた…。
卑劣な大人の犠牲になった蕾は、被害者だ。何の罪もない!
何で、被害者のあいつが厄介者扱いされなきゃなんねぇんだよ!わかんねぇよ!
自分達の都合ばかりで生きて、世間体ばかり気にしてるあんたら大人の方が、ずっと汚ねぇじゃないか!汚れてるのは蕾じゃなく、大人達なんだ!
ハーモニカを買ってくれたお爺ちゃんが言ったんだ。ハーモニカは孤独な楽器。ハーモニカの音色は、孤独な人の心に優しく語りかけるんだって。だから、お前も孤独な人に寄り添える人間になれって…。
大人は、誰もあいつの気持ちを分かってやろうとしなかった。
俺は…俺は絶対あいつを守る!
俺には、蕾の過去なんか関係ないっ!」
「聖…お前…」
一点の曇りもなく、真っ直ぐにこちらを見据える聖の目。
惣一の胸に、寂しいような、嬉しいような奇妙な感情が湧く。
惣一は、言葉を探したが、それ以上何も言えず、深い溜め息が漏れた。
すると、朋香が穏やかな口調で…