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口琴
第17章 口琴
………………
「すぐ、こちらへ向かうそうよ?」
「…あの…蕾は…元気ですか?」
「ええ。元気よ?あなたに逢えたら、もっと元気になるわ?きっと」
聖の耳が赤く染まる。
朋香はそれを見逃さず
「なぁに~?ニヤけちゃって~!」
「んだよ!ちげーよ!そんなんじゃねぇよ!」
「アハハッ!」
真っ赤になって朋香に突っかかる聖が、梨絵にはとても微笑ましく、朋香が少し羨ましくもあった。
「梨絵、その…こんなこと大きなお世話かも知れないけど、生活とか大丈夫?」
「…あ、ありがとう。大丈夫。
あの事件の裁判では、被害者である蕾に、有利な判決が出たの。でも蕾は未成年なので、慰謝料の請求権は親である私に…。でも私は、蕾にとって加害者も同じ。そして、当時はもっと、精神的に酷い状態だったから…。随分時間がかかったの。
弁護士が、蕾の希望も聞いてみると言ってくれて…。
ところが、蕾はお金は要らないって…。ただ二つだけ要求したの。一つは、私の病気を治すこと。そしてもう一つは、ダニエルの筐だったピアノを。
ピアノは借金の型として、あいつに取られてしまったから…。
幸い、ピアノは無事に取り戻すことができて、今はその弁護士さんの家に預かって頂いてるの。
退院して、仕事ができるようになったら、またピアノを教えたい。そして、娘達と一緒に暮らしたい。早く元気になるように、頑張らなくちゃ」
「…そう…。良かった。でも、何か困ったことがあったらいつでも相談してね?」
「そうだな。遠慮するなよ?」
「ええ。心配してくれて、本当にありがとう」
ヴ~ヴ~ヴ~…
梨絵の携帯が鳴る。
「…はい。あ、曽我部さん?…分かりました。宜しくお願いします…」
聖の心臓は、全身に響いていた。
「すぐ、こちらへ向かうそうよ?」
「…あの…蕾は…元気ですか?」
「ええ。元気よ?あなたに逢えたら、もっと元気になるわ?きっと」
聖の耳が赤く染まる。
朋香はそれを見逃さず
「なぁに~?ニヤけちゃって~!」
「んだよ!ちげーよ!そんなんじゃねぇよ!」
「アハハッ!」
真っ赤になって朋香に突っかかる聖が、梨絵にはとても微笑ましく、朋香が少し羨ましくもあった。
「梨絵、その…こんなこと大きなお世話かも知れないけど、生活とか大丈夫?」
「…あ、ありがとう。大丈夫。
あの事件の裁判では、被害者である蕾に、有利な判決が出たの。でも蕾は未成年なので、慰謝料の請求権は親である私に…。でも私は、蕾にとって加害者も同じ。そして、当時はもっと、精神的に酷い状態だったから…。随分時間がかかったの。
弁護士が、蕾の希望も聞いてみると言ってくれて…。
ところが、蕾はお金は要らないって…。ただ二つだけ要求したの。一つは、私の病気を治すこと。そしてもう一つは、ダニエルの筐だったピアノを。
ピアノは借金の型として、あいつに取られてしまったから…。
幸い、ピアノは無事に取り戻すことができて、今はその弁護士さんの家に預かって頂いてるの。
退院して、仕事ができるようになったら、またピアノを教えたい。そして、娘達と一緒に暮らしたい。早く元気になるように、頑張らなくちゃ」
「…そう…。良かった。でも、何か困ったことがあったらいつでも相談してね?」
「そうだな。遠慮するなよ?」
「ええ。心配してくれて、本当にありがとう」
ヴ~ヴ~ヴ~…
梨絵の携帯が鳴る。
「…はい。あ、曽我部さん?…分かりました。宜しくお願いします…」
聖の心臓は、全身に響いていた。