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イカせ屋稼業
第4章 そのよん
――――撮影現場へと向かうバンワゴンの車内。


『あのヒト、
凄いっすね………』



甲斐が機敏に運転しながら、
『ああ(笑)
見かけによらずの良い見本だろ?
長作さんは社長が懇意にしてんだよ、駆け出しの頃から。
奇才だよ、あの人。

女性用化粧品のカニャボウ・ST‐2って知ってるよな?あとヒャセイ堂の白美精シリーズの化粧水ボトルはあの人の〔作品〕
だよ』



『ええええ?!
そ、そんな凄い仕事してるヒトだったんすか?

…………はー、
ビックリした……………』


翔汰は心底驚いた。

ST‐2も白美精も『働く女性の憧れ化粧品』の代名詞だ。



化粧水一瓶が2万円ほどする代物。



あの〔ミノムシ〕
がそれを手掛けていたとは。


『デザインから製作まで1人で案を練ってるよ。
まぁ大量生産になると大型工場に発注するけどね。

化粧品メーカーの製作担当者がこぞって欲しがる〔才能〕
なんだ。

変わってるんだよ、
その2つ作った後は金にならないガラス細工ばっか作ってる。


さ、翔汰……
今日は2本入ってる。
1本め、分かってるな?』


『あ、はい………
坂城すず【サカキスズ】………ワガママで有名なトラブルメーカーさんすよね』


『ああ。
何言ってくるか分かんねーけど、スルーしろよ』



バンワゴンは、
製作会社契約のホテルの駐車場へと滑り込んだ。
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