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イカせ屋稼業
第14章 そのじゅうに
『………アミさん、かぁ!
良かったら連絡下さい』
KANAMEは満面の笑みで自分の名刺を手渡した。

___昔。社長である師橋から〈最大の武器になるね〉と褒められた、KANAMEの無邪気な笑顔。


あくまで〔良かったら〕である。


アミとやらは無言で名刺を受け取るとヒールの踵を鳴らし去って行った。

KANAMEは『成功。上玉get』と口角を歪ませる。


今ので引っかかるのだ、女というのは。
腰を低くし過ぎてもダメ、上からでもダメ、
あくまで対等なフリをしてギャップを利用するとホイホイかかる。


ピロン♪


ほーら、来た。

KANAMEはスマホをタップし、開く。

SMSで「CEOなんですね」とメッセージが入っていた。

もちろん、名刺には嘘八百の肩書を載せてある。


この都会に打算的じゃない女はいない。

それを利用するのだ。




_____しかし…………
@きんぱつ屋ねぇ……………


KANAMEの脳裏に〔写真〕が蘇る。


自身が消去していた過去。


どこからあんなモノを見つけてきやがった?!

しかも社長と実の親子という悪戯書き付きで。


KANAMEの目には、
どす黒い修羅が燃えていた…………………………………
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