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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
お彩は唇を噛んだ。やはり、京屋の追手は、ここまで及んでいたのだ。恐らくはお彩と伊勢次が江戸をひっそりと離れた後、京屋の番頭が慌てふためいて方々を探し回ったのだろう。市兵衛もお彩と伊勢次が江戸にいる間は大目に見ていたものの、流石に忽然と消えてしまい、焦ったのかもしれない。あれほどの情報網を持つ切れ者の男でも、二人の住んでいた村までをも探し当てることはできなかったものか。
考えてみれば、当然といえば当然のなりゆきではあったが、京屋の番頭が「花がすみ」にまで来ていたのかと思うと、我が身のしたことの重大さが身につまされた。
考えてみれば、当然といえば当然のなりゆきではあったが、京屋の番頭が「花がすみ」にまで来ていたのかと思うと、我が身のしたことの重大さが身につまされた。