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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
風邪でも引かせてはと、お彩は真冬に使っていた寝んねこ袢纏にお美杷を包んで背負うてきたのである。
―この子は伊勢次さんの子どもです。
少し躊躇った後、お彩はひと息に応えた。
一瞬の間があった。
―そうか。伊勢さんの子か。
この時、喜六郎が心底からお美杷が伊勢次の子だというお彩の話を信じたのかどうかは判らない。だが、少なくとも、喜六郎は、それ以上はそのことについて詮索しようとはしなかった。
―この子は伊勢次さんの子どもです。
少し躊躇った後、お彩はひと息に応えた。
一瞬の間があった。
―そうか。伊勢さんの子か。
この時、喜六郎が心底からお美杷が伊勢次の子だというお彩の話を信じたのかどうかは判らない。だが、少なくとも、喜六郎は、それ以上はそのことについて詮索しようとはしなかった。