この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
そこで、お彩は初めて、伊勢次が亡くなったことを告げた。自分たちが江戸を離れて近在の小さな農村に身を寄せていたことも、そこで伊勢次が池に落ちて亡くなったこともすべてを話した。その内容は、お彩が伊勢次の母おきわに語ったのと同様に、ただ事実のみを順序立てたものであった。
―伊勢さんが亡くなっちまったのかー。
喜六郎にとっては、これは思いもかけなかった出来事らしく、しばらくは物も言えない状態であった。
―申し訳ありません。黙ってるつもりはなかったんですが。
それでも、言わなかったことに変わりはない。
―伊勢さんが亡くなっちまったのかー。
喜六郎にとっては、これは思いもかけなかった出来事らしく、しばらくは物も言えない状態であった。
―申し訳ありません。黙ってるつもりはなかったんですが。
それでも、言わなかったことに変わりはない。