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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
―旦那さん。
口を開こうとするお彩を手で制して、喜六郎は言った。
―ま、最後まで聞きねえ。その時、俺は親父さんにしっかと約束したんだ。お彩ちゃんのことは、この「花がすみ」にいる限りは、俺が責任持って引き受けるとな。だから、これからは、けして早まった真似だけはしねえで、困ったことがあったら、俺に相談しちゃくれねえか。頼りにはならねえだろうが、この喜六郎、お前の父親代わりになるつもりだからよ。もし、お前に今後何かあったら、俺は亡くなった親父さんにも顔向けがならねえ。その辺のところもよおく考えてくんな。養女や店の跡目云々の話は、これからおいおい思案していってくれれば良い。なに、先を急ぐ話じゃねえさ。
口を開こうとするお彩を手で制して、喜六郎は言った。
―ま、最後まで聞きねえ。その時、俺は親父さんにしっかと約束したんだ。お彩ちゃんのことは、この「花がすみ」にいる限りは、俺が責任持って引き受けるとな。だから、これからは、けして早まった真似だけはしねえで、困ったことがあったら、俺に相談しちゃくれねえか。頼りにはならねえだろうが、この喜六郎、お前の父親代わりになるつもりだからよ。もし、お前に今後何かあったら、俺は亡くなった親父さんにも顔向けがならねえ。その辺のところもよおく考えてくんな。養女や店の跡目云々の話は、これからおいおい思案していってくれれば良い。なに、先を急ぐ話じゃねえさ。