この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
お彩はその夜、「花がすみ」に泊まり、お美杷の無事を祈り続けた。暁方、お彩はほんのいっとき、浅い微睡みに落ちたようであった。
浅い眠りの中、お彩は遠くから響いてくる赤子の泣き声を聞いた。
―お美杷、お美杷ッ。
お彩は夢中で我が子の名を呼びながら、走って追いかけようとした。と、ふいに背後から頑丈な腕で抱き止められ、お彩はもがいた。
「行かせて、行かせて。早く、早く追いかけなければ、お美杷がまたいなくなっちまう」
自分の身体に絡みつく手を振りほどこうと懸命にもがいた。
浅い眠りの中、お彩は遠くから響いてくる赤子の泣き声を聞いた。
―お美杷、お美杷ッ。
お彩は夢中で我が子の名を呼びながら、走って追いかけようとした。と、ふいに背後から頑丈な腕で抱き止められ、お彩はもがいた。
「行かせて、行かせて。早く、早く追いかけなければ、お美杷がまたいなくなっちまう」
自分の身体に絡みつく手を振りほどこうと懸命にもがいた。