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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
「心配でならねえお彩ちゃんの気持ちは判る。だが、お前までが取り乱して、どうなる? ここは辛くとも、気をしかと持ってお美杷ちゃんの無事な帰りを待つしかあるめえ」
だが、お彩は喜六郎の手を振りほどき、烈しく首を振った。
「旦那さんは赤の他人だから、そんなことをおっしゃるんですよ。自分の子がどこの誰とも判らない輩にさらわれて、平気の平左でいられる親がどこにいるっていうんです? あの子は、お美杷はこの世に生まれて、まだたったの半年しか経っていないんですよ? 今、この瞬間にも、あの子は乳を欲しがって、お腹を空かせて泣いてるかもしれない。それなのに、何もなかったような顔でここにじっと座ってることなんて、できるはずがないじゃありませんか」
だが、お彩は喜六郎の手を振りほどき、烈しく首を振った。
「旦那さんは赤の他人だから、そんなことをおっしゃるんですよ。自分の子がどこの誰とも判らない輩にさらわれて、平気の平左でいられる親がどこにいるっていうんです? あの子は、お美杷はこの世に生まれて、まだたったの半年しか経っていないんですよ? 今、この瞬間にも、あの子は乳を欲しがって、お腹を空かせて泣いてるかもしれない。それなのに、何もなかったような顔でここにじっと座ってることなんて、できるはずがないじゃありませんか」