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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第32章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の壱
お彩が立ち上った。
「ちょっと見てきますね」
もしや、お美杷が見つかったのかという一縷の希望はすぐに潰えた。表には誰もおらず、人の来た形跡もなかった。恐らくはお美杷の行方を案じるあまりに、お彩も喜六郎もどちらもが幻聴を聞いてしまったのだろう。
そう思い、小さな溜息を零したお彩の眼にふと足元に落ちたものが映じた。
お彩は慌ててしゃがみ込んで、三和土に落ちた小さなものを拾った。