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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第33章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の弐
気紛れに現れる市兵衛との逢瀬は一年にたった数度、それもお彩の意思とは無関係に、市兵衛は思い出したようにふらりとやってくる。お彩は、ただひたすら恋しさに耐えて、それを待つしかなかった。そんな関係が初めてめぐり逢ってから三年続いた。漸く結ばれてからの市兵衛は、それまでとは別人のようだった。逢えば、次の逢瀬を求めてきた。出合茶屋で身体を重ねるだけの日々に疑問を持ち、ひとたびは別離を切り出しながらも、晴れて夫婦となることが叶った。
が、幸せな結婚生活は端から望むすべもなく、市兵衛が女房としてのお彩に求めたのは、所帯を持つ前と同様、ただ膚を合わせることのみであった。
が、幸せな結婚生活は端から望むすべもなく、市兵衛が女房としてのお彩に求めたのは、所帯を持つ前と同様、ただ膚を合わせることのみであった。