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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第33章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の弐
松平越中守は親藩でも殊に力のある大名家であり、二十五万石を領する。そのお屋敷にかねてから出入りするのは、先代精左衛門からの悲願でもあり、仁左衛門は御用商人になるべく、あちこち手を回して奔走していた。そのために、多額の出費も惜しまず、松平様の許にも金子を持参してご機嫌伺いに余念がなかったようだ。
そうまでして鑑札を頂こうとしていたのだが、なかなか許しは得られず、埒は明かなかった。業を煮やした仁左衛門は、ついにてっとり早い手段に出ることにした。何とか市兵衛がの弱みを握り、裏から強請って鑑札を譲らせようという陰謀を企んだのである。
そうまでして鑑札を頂こうとしていたのだが、なかなか許しは得られず、埒は明かなかった。業を煮やした仁左衛門は、ついにてっとり早い手段に出ることにした。何とか市兵衛がの弱みを握り、裏から強請って鑑札を譲らせようという陰謀を企んだのである。