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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第35章 第十四話 【雪待ち月の祈り】
「しかし、また何で急に来たんだ? 俺は今時分は安っつぁんは京でばりばりやってるとばかり思ってたぞ」
 喜六郎の問いに、安五郎は浅黒い顔を曇らせた。
「実は、そのことで折り入って、お話があってお伺いしました」
 そのどこか浮かぬ表情に、喜六郎は何かを察したらしい。
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