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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第36章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の弐
 その時、二階から子どもの泣き声が響いた。
 安五郎がおやという顔になった。
「そういえば、お子さんがいはるんでしたね」
「ええ、どうやら昼寝から覚めたようです」
 お美杷は親孝行な子で、丁度、昼寝の時間が店の多忙な昼時に当たることが多い。むろん、判で押したように毎日というわけにはゆかないけれど、忙しいときに大人しくしていてくれるのは親にとってはありがたい。
「あまり静かなものだから、忘れてちまってた。この間は、申し訳ないことをしました。私が突然お邪魔したばかりに、お子さんに風邪でも引かせちまったんじゃないかとずっと気にしてたんですよ」
 安五郎の不安げな物言いに、お彩は笑った。
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