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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第36章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の弐
が、お彩は、きっぱり言い切った。
「何度申し上げても私の気持ちは変わりません」
「それじゃあ、仕方ありません。私もこんなことは言いたくはなかったが、お内儀さんがどうでも素直になりなさらねえとくれば、言わねばなりません。このままおめおめと帰っては旦那さまにきついお叱りを受けますものでね。お内儀さん、旦那さまは、この店にお貸しした土地を四、五日中にも返していただきたいと仰せです」
泰助の細い眼が光った。
「何ですって!?」
慌てて喜六郎を見ると、喜六郎が苦渋に満ちた顔で頷いた。
「お彩ちゃんは知らねえのも無理はないが、実は、ここの土地は借りたものなんだ。持ち主―つまり地主は京屋さんだ」
「何度申し上げても私の気持ちは変わりません」
「それじゃあ、仕方ありません。私もこんなことは言いたくはなかったが、お内儀さんがどうでも素直になりなさらねえとくれば、言わねばなりません。このままおめおめと帰っては旦那さまにきついお叱りを受けますものでね。お内儀さん、旦那さまは、この店にお貸しした土地を四、五日中にも返していただきたいと仰せです」
泰助の細い眼が光った。
「何ですって!?」
慌てて喜六郎を見ると、喜六郎が苦渋に満ちた顔で頷いた。
「お彩ちゃんは知らねえのも無理はないが、実は、ここの土地は借りたものなんだ。持ち主―つまり地主は京屋さんだ」