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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第37章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の参
「判った。当分の間、安っさんには、うちの店で板前として働いて貰う。ま、色々と話をする機会もあるだろうから、互いを知ることもできる。それでも、お彩ちゃん、あの手代は五日しか期限はねえと言いやがった。そんなに考えるゆとりはねえぜ。―それとも、何かい、お前は京屋に戻って、旦那とやり直す気はあるのかい」
その言葉に、お彩は力なく首を振った。
「京屋に戻るつもりは、もう二度とありません」
「なら、よおく考えてみた方が良い。安っさんは良い男だよ。働き者だし、きっと良い亭主になる。ま、ちと口べたなところはあるがな」
喜六郎が冗談めかして言うのに、お彩は黙って頷いた。
その言葉に、お彩は力なく首を振った。
「京屋に戻るつもりは、もう二度とありません」
「なら、よおく考えてみた方が良い。安っさんは良い男だよ。働き者だし、きっと良い亭主になる。ま、ちと口べたなところはあるがな」
喜六郎が冗談めかして言うのに、お彩は黙って頷いた。