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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第37章 第十四話 【雪待ち月の祈り】 其の参
「良いんですよ。お彩さんにはっきり言って貰わなかったら、私は多分この先もずっと天狗になったまま、自分の料理が実はたいしたこともないことに気づきやしなかったでしょうから。良い勉強になりましたよ。―きれいだが、匂いのない花とはよく言ったものだ。確かに、そのとおりかもしれません。私は見た目ばかりに拘って、食べて下さるお客の心情深くまで分け入って考えることを忘れていたようです。私から見れば、あなたは私とはまるで逆だ」
 お彩は安五郎の言葉を計りかねた。
「あなたの料理は今はまだ荒削りで洗練されてはいないが、心がこもっている。あなたは実のあるお人だから、その気性が料理にも反映されているんですよ。
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