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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第39章 第十五話 【静かなる月】 其の壱
     【壱】

 眼の前をふいにひとひらの花びらが横切っていき、お彩は無意識の中にそのゆく方を眼で追っていた。桜貝を思わせるような薄紅色の花びらは風に漂い、瞬きをするまもなく、見えなくなった。それでもなお、お彩はしばらく花びらの消えた方をぼんやりと眺めていた。
 たった一人の我が子と離れ離れになって、もう既に四カ月余りが経った。お彩にとっては、一年にもいや、数年にも感じられるほど果てしなく長い月日であった。
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