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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第39章 第十五話 【静かなる月】 其の壱
が、その間には様々な雑用もこなさなけれ
去年の晩秋、京屋市兵衛が喜六郎に借りたままの土地を返すようにと言ってきた。お彩は与り知らぬことではあったが、元々、「花がすみ」の建つ土地は京屋の所有であり、京屋から借りたものであった。その土地を突然、返せという無理難題を突きつけてきたのだ。
市兵衛は、その交換条件として、お彩とお美杷の身柄を要求した。つまり、お彩母子が京屋に戻ってくるならば、「花がすみ」の土地はそのまま今までどおり貸してやっても良いというのだった。
その対抗手段として喜六郎が考えついた苦肉の策というのが、安五郎とお彩の縁組みであったのだが、結局、お彩はさんざん悩み抜いた末、愛娘だけを京屋に渡すということで、市兵衛を納得させた。
去年の晩秋、京屋市兵衛が喜六郎に借りたままの土地を返すようにと言ってきた。お彩は与り知らぬことではあったが、元々、「花がすみ」の建つ土地は京屋の所有であり、京屋から借りたものであった。その土地を突然、返せという無理難題を突きつけてきたのだ。
市兵衛は、その交換条件として、お彩とお美杷の身柄を要求した。つまり、お彩母子が京屋に戻ってくるならば、「花がすみ」の土地はそのまま今までどおり貸してやっても良いというのだった。
その対抗手段として喜六郎が考えついた苦肉の策というのが、安五郎とお彩の縁組みであったのだが、結局、お彩はさんざん悩み抜いた末、愛娘だけを京屋に渡すということで、市兵衛を納得させた。