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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第39章 第十五話 【静かなる月】 其の壱
しかしながら、流石に八割方の花が散ってしまったこの時季には、訪れる人もぐっと減るのが常であった。随明寺の花見客の数はそのまま「花がすみ」の客入りにつながる―と言っても良く、境内が花見の人出でごった返す時期は帰りに「花がすみ」に立ち寄る人も多いため、店は昼刻、夕刻といわず日がな客足が途絶えることはない。
特に夜桜見物としゃれ込んだ連中がそのまま勢いで飛び込んでくるから、夜四ツ(午後十時)過ぎに表の軒燈を消すまで、店は混み合うといった塩梅だ。が、桜も散り、花見客が眼に見えて減ってくると、「花がすみ」の方もいつもの状態に次第に戻ってくる。
特に夜桜見物としゃれ込んだ連中がそのまま勢いで飛び込んでくるから、夜四ツ(午後十時)過ぎに表の軒燈を消すまで、店は混み合うといった塩梅だ。が、桜も散り、花見客が眼に見えて減ってくると、「花がすみ」の方もいつもの状態に次第に戻ってくる。