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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐
が、寄る年波には勝てず、女には見向きもされなくなり、金蔓にする女を見つけるのも難しくなってきた。賭場通いに明け暮れている中に次第に借金がかさんで身動きもままならなくなった。
進退窮まった富久三は、十年以上もの間無沙汰を続けていた喜六郎の前にひょっこりと現れ、厚かましくも、とんでもないことを頼んできた。三十両を金貸で借りるのに、どうでも保証人がいるからと土下座までして頼み込まれ、ついに富久三の頼みを受け容れてしまったのだ。
その時、喜六郎の脳裡にも、高利の金であるのではないかという不安はきざしたらしい。しかし、富久三は言葉巧みに喜六郎の人の好さにつけ入り、読み書きのできぬ喜六郎にその証文とやらを見せ、名前を書かせた。
進退窮まった富久三は、十年以上もの間無沙汰を続けていた喜六郎の前にひょっこりと現れ、厚かましくも、とんでもないことを頼んできた。三十両を金貸で借りるのに、どうでも保証人がいるからと土下座までして頼み込まれ、ついに富久三の頼みを受け容れてしまったのだ。
その時、喜六郎の脳裡にも、高利の金であるのではないかという不安はきざしたらしい。しかし、富久三は言葉巧みに喜六郎の人の好さにつけ入り、読み書きのできぬ喜六郎にその証文とやらを見せ、名前を書かせた。